ローランド さん

「田舎過ぎない田舎暮らし」 ローランド From ドイツ To 海南市

古民家の研究室で魚を救う
ドイツから来た研究者

ドイツ出身で、シンガポールの大学に在学している時は、たんぱく質の構造の研究をし、現在は魚の病気を治すサプリの開発をしているローランドさん。自ら「うミらい」という会社を設立し、サプリの試験をするために、現在もシンガポールと行き来されています。お住まいは3棟連なる広くて大きな古民家で、友人である外国人移住者の方が手掛けた改修も施されており、玄関には「楼(ロー)乱(ラン)道(ド)」と記された表札が掲げられています。古民家にはサプリの研究室もあり、日本人の奥様、娘さん、エアデールテリアのみかんちゃん(愛犬)と暮らされています。

ローランドさん宅の古民家

街中も高速道路も
関西国際空港も近いのに、
それでいて自然な感じ

和歌山に移住する前はどこで何をしていましたか?

ローランドさん:ドイツの大学で学んでから、シンガポールの大学で博士号をとり、そのあと大阪で研究を2年間行いました。ポストドクターです。そのあと、シンガポールに戻って、魚の病気を治すワクチンを作る会社で働いていました。

今もその時と同じ仕事をされているのですか?

ローランドさん:今は自分で会社を立ち上げて、魚の病気を治すワクチンではなく、サプリを作っています。

その研究をしようと思ったきっかけってなんですか?

ローランドさん:たまたまシンガポールで、知り合いの養殖場のオーナーとのおしゃべりの中で、オーナーから「自分で魚のワクチンを作る会社を作りたい」という話が出たんです。僕には、それがすごくおもしろくて、興味をもったんです。
その時まで、魚のワクチンがあるなんて知らなかった。人間の薬は、大学で研究すれば作ろうと思えば作れるけど、研究から薬ができるまではものすごく時間とお金がかかる。それが普通だと思ってたんだけど、魚のワクチンの場合は短期間でできるんですよ。仕事のスタイルが一気に変わりました。薬ができて、検査して、すぐに養殖場で試すと、魚の病気も治った。それがおもしろいと思いました。

おもしろいですね。そこから、なぜ日本に来たのでしょうか。

ローランドさん:最初大阪へ研究に来たのは、おもしろいから!日本には来たことがあって、割と好きだったんです。それと、外国から研究者が日本に来ると補助金がもらえて〔日本学術振興会(JSPS)外国人特別研究員事業〕、その上とてもレベルの高い研究室に入れるんですよ。その研究が終わって、次はどうしようかなと思いながらシンガポールに戻ったんですが、自分で新しい会社を作りたい、自分のお金でやりたいなと思うようになったんです。だけど、シンガポールは費用が高いし、ちょっと飽きもあった。ドイツに帰るか日本に帰るか妻と悩んで、僕の方が妻に日本に行きたいと言って、日本にやって来ました。

そこから、日本の中でもなぜ和歌山なんでしょうか?

ローランドさん:大阪にいたので、関西が良いなと思っていました。だけど、そんなに街中にはいたくなかったし、大阪は土地が高い。広い土地が欲しかったんです。
大阪にいた頃は、天気が良ければバイクで色んなところに出かけていて、この辺も来たことがあり、覚えてたんです。いいな~と思ってた。それからネットで調べて、和歌山県の不動産業者さんにお世話になって。
この場所が本当に良いですね。街中と高速道路と関西国際空港(以下「関空」)まで遠くないし、お店も近いし、それでいて自然な感じもあって。

ローランドさん宅から見える景色

「田舎過ぎない田舎」とおっしゃってましたよね。

ローランドさん:そうそう、一番初めは心配した。ずっと大きな街に住んでたから、すごい田舎に行くのは、どんな感じなんだろうと…初めはネットで家を探して、良いと思った所には滞在してみたんだけど、僕には田舎すぎた(笑)今はたぶん大丈夫だけど、ここに住む前は心配だった、心配しすぎたかな。

今もシンガポールに行くのであれば、関空が近くて良いですね。

ローランドさん:前は1か月に1回は行っていました。今も2~3か月に1回テストのためにシンガポールに行っているので、関空に近いのが良いです。

日本は手続きが煩雑だけど、
みんな優しい

そんな和歌山県の魅力はなんですか?

ローランドさん:いっぱいありますね(笑)自然な場所が好きなんです。バイクで走ると、良い道がいっぱいあるのが分かりますね。ここから田辺市への道とか龍神スカイラインとか。
それで、海も近い!ここからだと20分~25分くらいでいける浜の宮のビーチ(和歌山市)とかも、綺麗!夏だけじゃなくて、冬も綺麗!
南の方の白崎海岸(由良町)とかでは、スキューバダイビングがしたいですね。岩が白いから、面白そう!スキューバのスクールもあるし。初めて見たときにここでスキューバがしたい!と思っていました。

日本や和歌山に来て驚いたことはありますか。

ローランドさん:もちろんいっぱいありますよ!例えば町中に信号が多いですね!シンガポールやドイツに比べると多い。
それと、シンガポールに住んでいた頃はいつも「ここは外国だ」と感じていました。でも日本は生まれたドイツとあんまり変わらないと感じましたね。車とかビルとか。だけど、人と話すと、考え方とか全然違うし、やり方とかも。それはおもしろいと思う。
あと、日本の手続きは煩雑ですね。ドイツも難しいけど、日本も難しいなと思う。会社の設立は非常に難しかったですよ(笑)税理士が必要とか、自分でできないと思いました。(求められることが)細かいですね!自分一人だけの会社なのになあ…と思いました。
もちろん皆さん優しいけどね。ドイツは優しくないから間違ったらすごいことになる(笑)

日本文化でおもしろいものはありますか?

ローランドさん:日本の文化は、めっちゃおもしろい!特に祭りがおもしろいですね。大阪にいた頃、「岸和田のだんじり」を見ました。楽しくて、おもしろくて、「なにこれ?すげえ~」って(笑)今はコロナになっちゃって祭は全然やってないけど、おもしろいですね。

愛犬みかんとローランドさん。
奥が研究室

今のお仕事の楽しいところはなんですか?

ローランドさん:やりたい研究がなんでもできること。広い場所があるから、やりたい研究のための機械を作ることもできるし、細かいパーツが必要だったらネットで注文して作れるので、どこでも研究ができるんです。
次は、この家から下の方にある空き家を買いたい。まだ空き家かどうかわからないんですけど、海南市役所の方に相談してます(笑)この辺の道は狭いけど、この家の下の空き家に行く道は広くて、街にも多少近いので、倉庫にしたいんです。

お休みの日はどう過ごしますか?

ローランドさん:海に行きますね。あとは、娘が好きなので恐竜ランド(かつらぎ町)とかに行きます。

バイクもまだ乗られるんですか?

ローランドさん:今は寒いよ(笑)(インタビューは2月初旬)雪もあるし、乗りたいけど…もうちょっと待ってる!龍神村や田辺市くらいで3時間、時間があったら串本まで行きますよ。

自治会にも参加

地域の人との関りはありますか?

ローランドさん:お隣さんや、その次のお隣さんと犬の散歩のときによく話しますね。あとはこの辺の自治会にも参加しますよ。道の掃除とかをみんなでしています。

別棟の改修は
友人アレンさんが手掛ける。

ローランドさんのご自宅の別棟は紀美野町の外国人移住者の方で、家具職人のドミニク・アレンさんが改修をしたと聞いたのですが、アレンさんとはどうやって知り合ったのですか?

ローランドさん:外国人の大工さんがいるとは聞いていたんだけど、どこにいるか知らなかったんです。この辺に住んでいる外国人の友人が「大工さんのドミニク知ってる?」って教えてくれて、ネットで調べたら、「あ!近くに住んでる!」と思って、ピンポーンって訪ねていきました。

アレンさんとは一緒に御飯も食べる仲なんですよね?

ローランドさん:そうですね。アレンさんから繋がった外国人の友人もいますよ。紀の川市とか和歌山県内に外国人の友人が何人かいますね。

街の中ではできない体験

ローランドさんの大切にしているもの・ことはなんですか?

ローランドさん:自然な場所に住んでいること。これは、娘も喜んでいることなんです。娘と色んなおもしろいことができる。隣の森にイタチが住んでたり、イモリが田んぼにいたり…娘は大好きなんですよ。これは街の中ではできない体験ですよね。僕はトカゲとかヘビも好きです。

ローランドさん宅の裏山
娘さんが好きな動物たちがたくさいます。

ローランドさんの今後の夢は何でしょうか。

ローランドさん:船が欲しいな!小さいセールボート。シンガポールでセーリングをしたことがあって、結構楽しい!海が近いし、マリーナシティもあるし…高いけどね!

海が好きなんですね。

ローランドさん:そうですね!


日本に来る時も、魚のワクチンを作ることになった時も、「おもしろい!」というワクワク 感が原動力になっているローランドさん。和歌山県海南市では、ローランドさんの研究室が どんどん大きくなっていくかもしれません。インタビューにお答えいただきありがとうご ざいました。
そんなローランドさんのお気に入りの一枚は、一緒にインタビューを受けた愛犬・みかんちゃんです。

ローランドさんのお気に入りの一枚

インタビューの間に
かわいい格好で寝てしまいました。
  • 安藤 マリアンヌ From フランス To 田辺市

  • リー 先捷シェンジェ From シンガポール To 田辺市龍神村

  • アンディー・ストラックマーセル From アメリカ To 日高川町

  • アダム・バラン From アメリカ To 有田川町

  • ダル・ジョバンニ From イタリア To 田辺市

  • ドミニク・シュミッツ From ドイツ To 上富田町

  • ローランド From ドイツ To 海南市